ハンナ
女の戦いというのは醜いもので、容赦がありません。聖書の古いところでは、婚姻は一夫多妻制で、妻たちにとっては、夫をめぐる戦いは熾烈極まりないものでした。有名なのはヤコブ(イスラエル)です。彼の内からレアとラケルとそれぞれ二人の女奴隷によって、イスラエル12部族が出ました。しかし、彼らの年月は、夫の取り合いの歴史だったといっても過言ではないでしょう。
ハンナは、それからしばらく後の人物で、預言者サムエルの母です。ところが、ハンナはサムエルを生むまでは長く不妊の女であったのです。彼女の夫はエルカナで、ぺニンナというもう一人の妻がいました。本当の所は、エルカナはぺニンナよりハンナをより愛していたと思います。それが分かるので、ぺニンナはハンナに子が無いことを苛立たせては毎年シロで礼拝する度に、彼女を泣かせていました。エルカナは、私はお前にとって10人の息子以上のものでないのか、とハンナを慰めます。しかし、募る憂いはもはや限界に達していました。
彼女が向かったのは、主の宮です。聖書には「ハンナの心は痛んでいた。彼女は主に祈って、激しく泣いた」(サムエル記第一1章10節)と書いています。祭司エリはハンナが酒に酔っているのだと思いたしなめましたが、ハンナは言います。「いいえ、祭司さま。私は心に悩みのある女でございます。(中略)主の前に、私の心を注ぎだしていたのです」エリは「安心して行きなさい。イスラエルの神が、あなたの願ったその願いをかなえてくださるように」とハンナに言って下さいました。「彼女の顔は、もはや以前のようではなかった」と聖書は記しています。
数年前「ウォールーム」という映画が話題を集めました。自宅のクローゼットを祈りの部屋に変え、神と祈りの格闘をするというのがそのあらすじです。実はマタイの福音書にその土台となる一節があります。
6章6節に「あなたは、祈るときには自分の奥まった部屋にはいりなさい。そして、戸をしめて、隠れた所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます」と書かれています。
父なる神さまは隠れた所におられ、隠れた所で私たちを見ておられます。その報いもまた確かです。それを知って後ろの戸を閉め、この隠れた方のみ前に、私たちもまたハンナのように心を注ぎ出して祈ることができるのです。
救いとは、出会いであると思います。神に出会うことが試練の目的であり、解決であり、勝利です。ルカの福音書19章10節には「人の子は、失われた人を探して救うために来たのです」という一節があります。主はあなたを探しておられ、あなたを救おうとされています。あなたに募る思いがあるなら、主はすべてをご存知です。ハンナのように神のもとに行きましょう。
その時、あなたは自分の人生に起こったすべてのことを悟り、またすべてが益となって行くことを知るでしょう。
神はあなたを愛しておられます。
「MIKOE NEWSから転載」 2022年5月2日、リンク先:https://www.mikoe-news.com/
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