2023年1月11日水曜日

ソロモンの凋落

 ソロモンは、イスラエルの王ダビデとバテ・シェバの間に生まれた男児です。ダビデには多くの息子がいました。しかし、ダビデの王座を受け継いだのはソロモンでした。ソロモン王朝は祝福され、イスラエルは古今東西、類を見ないほどの繫栄を遂げた国家となりました。

 青年ソロモンは、心の低い好青年でした。王としての任命を受けると、当時会見の天幕があったギブオンに行き、そこの祭壇の上に1000頭の全焼のいけにえをささげました。するとその夜、主は夢のうちにソロモンに現れ、こう言われました。「あなたに何を与えようか。願え

 それに対してソロモンは言います。「主よ。今、あなたは私の父ダビデに代わって、このしもべを王とされました。しかし、私は小さい子どもで、出入りするすべを知りません。(中略)善悪を判断してあなたの民をさばくために聞き分ける心をしもべに与えてください」(列王記第一3章参照)

 この願い事は主のみこころにかないました。それで主は、「あなたがこのことを求め、自分のために長寿を求めず、自分のために富を求めず、あなたの敵のいのちをも求めず、むしろ、自分のために正しい訴えを聞き分ける判断力を求めたので、今、わたしはあなたの言ったとおりにする。(中略)そのうえ、あなたの願わなかったもの、富と誉れとをあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちの中であなたに並ぶ者はひとりもないであろう

 その通り、ソロモン王朝は人類史上、最も繁栄した国となりました。ただ、若いうちは腰が低くかったソロモン王ですが、繁栄の中で何かが変わってしまったようです。

 旧約聖書に、「伝道者の書」という巻があります。本文中にソロモンの作だと書かれているのでそうだと思います。ところが、この書のテーマは一貫して「空の空」、つまり空しさにあるのです。内容は、喜びや楽しみとは程遠いもので、とてもあの謙遜で信仰に満ちていたソロモンが書き上げたものだとは思えません。ソロモンは、誰よりも富みましたがそれを楽しむことはできず、また快楽を求めて多くのそばめを持ちましたが、かえって女の苦々しさを知ることになりました。富に関しては、持ち主に害を加えるとさえ書かれています。

 ソロモンには、一切の物が与えられていました。望みさえすれば、さらに加えて与えられたでしょう。また、多くのそばめを持つことによって、彼女らを通して異教の神々に近づいたのも、彼にとっては落とし穴の一つでした。その心は次第に神・主から離れてしまったのです。

 こうして、ソロモン王朝は凋落(ちょうらく)の一途をたどります。エルサレムで神殿奉献を成し遂げ、素晴らしい働きをしたソロモンでしたが、在位40年で幕を閉じます。苦みの中で彼が見いだしたことは、「神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである」(伝道者の書1213節)という一文に尽きます。神を恐れ、神に聞き従うことの重要性を、反面教師として示しました。

 このソロモンのことばを、今の私たちに当てはめるなら、それは「主イエス・キリストを信じ、あなたの救い主として受け入れなさい」ということになるでしょう。いつまでも続くものは、往々にして目には見えないものです。人にとって最も大切なこと、それは、イエス・キリストを信じることであるのです。

MIKOE NEWSから転載」 2023年1月11日、リンク先:https://www.mikoe-news.com/

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