2025年10月1日水曜日

地上で最後に救われた男

 その日、ヘロデ王とピラトは仲良くなりました。共通の敵イエス・キリストを見いだしたからです。ヘロデは、イエスから何らかの奇跡を見せてもらいたいと思っていましたが、イエスは、彼に何もお答えになりませんでした。
 それどころか、ヘロデは自分の兵士たちと一緒にイエスを侮辱したり、嘲弄(ちょうろう)した挙げ句、派手な衣を着せて、ピラトに送り返しました。

 並行記事によれば、「総督の兵士たちは、イエスを官邸の中に連れて行って、イエスの着物を脱がせて、緋色の上着を着せた。それから、いばらで冠を編み、頭にかぶらせ、右手に葦を持たせた。そして、彼らはイエスの前にひざまずいて、からかって言った。『ユダヤ人の王さま。ばんざい。』 また、彼らはイエスにつばきをかけ、葦を取り上げてイエスの頭をたたいた。こんなふうに、イエスをからかったあげく、その着物を脱がせて、もとの着物を着せ、十字架につけるために連れ出した。」(マタイの福音書272731節)と書かれています。

 同38節では、イエスとともに、ふたりの強盗が、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけられた様子を記しています。
 「道を行く人々は、頭を振りながらイエスをののしって、言った。『神殿を打ちこわして三日で建てる人よ。もし、神の子なら、自分を救って見ろ。十字架から降りて来い。』」(3940節)
 「イエスといっしょに十字架につけられた強盗どもも、同じようにイエスをののしった。」(44節)

 その時、「十二時から、全地が暗くなって、三時まで続いた」という記事が、マタイの福音書にもルカの福音書にも記載されています。
 「太陽は光を失っていた。また、神殿の幕は真っ二つに裂けた」(ルカの福音書2345節)ということが起こり、イエスは大声で叫んで言われたのです。「父よ。わが霊を御手にゆだねます。」(46節)と。そして、息を引き取られました。

 ところが、この時、私たちにとって大きな希望となることが起こっていたのです。

 十字架にかけられていた犯罪人の一人がこんなことを言い出すのです。
 「『おまえは神をも恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。われわれは、自分のしたことの報いを受けているのだからあたりまえだ。だがこの方は、悪いことは何もしなかったのだ。』『イエスさま。あなたの御国の位にお着きになるときには、私を思い出してください。』」(ルカの福音書234042節)

 「イエスは、彼に言われた。『まことに、あなたに告げます。あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。』」(43節)

 彼が、キリストに救われたキリストの地上の生涯最後の男と言ってもよいでしょう。「今日、わたしとともにパラダイスにいる」と約束されたイエスのご愛の深さ、そして今成し遂げようとしている救いの完全さを思いませんか。

 そしてこれは、ギリギリの救いでした。まさに主イエスが息を引き取る前の出来事だったのです。

 何が彼を改心させたのか、それは聖書には書いていません。しかし、人類の罪を負って十字架の苦しみを担われた主を見て、私たちとこのお方は違うと彼に分かったのではないでしょうか。そして、この方は本物だという確信を得たのではないでしょうか。

 苦しみの中にも、主イエスは、救いのことばを下さいました。息絶える寸前です。へりくだって、主に求めるなら、主は、救いとなることばを下さいます。罪人にとって、これは、思う以上のことばだったでしょう。「今日、わたしとともにパラダイスにいる」。これは、赦された以上のことばだったのです。

 受難のしもべ、イエスを信じましょう。神と私たちを隔てていた至聖所と聖所の幕は上から裂けました。イエスは、真の聖所の道を確かに開かれたのです。だれでもこのイエスを自分の救い主として受け入れるなら、その人には直ちに永遠のいのちが約束されるのです。

MIKOE NEWSから転載」 2025年10月1日、リンク先:https://www.mikoe-news.com/

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