2024年6月5日水曜日

AI

 先日、私たちの教会の牧師をAIで加工した映像を見ました。驚きました。あまりにも見事に作られていたからです。牧師が英語で説教している様子で、顔の表情も口元も声も牧師そのものです。誰が見ても牧師が英語で話しているとしか見えないでしょう。

 近年、AIの進歩には目覚ましいものがあります。もし、誰かがAIを用いて牧師にこれこれのことをしなさいと言わせたら、聞いた私たちがそのまま信じてそれを実行するであろうほどのレベルです。驚きとともに、恐れを抱きました。何でも聞く通りに答えてくれ、しかも秩序正しく完璧な答えがわずか12秒で手に入るわけですから、これはもう時代を席巻しているといえるでしょう。

 「クレヨンしんちゃん」というTVアニメがあります。しんちゃんのお母さんはみさえさんといいます。みさえさんが「晩ご飯は何がいいかしら」とAIに聞くとAIは「ピーマンの肉詰め」と答えたそうです。すると、何か取りつかれたような顔をしてピーマンとお肉を買いに行こうとします。それどころか、夕飯のメニューの他にも、あらゆる事柄をAIに聞き始めます。街に出ると、スマホを耳に当て、AIに聞いている人だらけです。おかしいと気づいたしんちゃんが、みさえさんからスマホを取り上げようとして、強引に引き離したところ、はっといつものみさえさんに戻りました。興味深いシーンで、これは決してアニメの世界の話ではなく、こういう現実は既に始まってきていると作者が警告しているのではないかと思いました。

 人類はさまざまな歴史をたどってきました。私たちの遠い祖先は生きてゆくために「狩り」をしなければなりませんでした。そして、それが人類が「道具」を用いていくことの始まりとなったのです。釣った魚が針から落ちないように「鉤(かぎ)」を付ける発見があり、また動物を仕留めるための槍(やり)や刀を作りました。これらは「道具」と呼ばれるものであり、私たちの生産の働きを向上させるために創られたものです。これが「狩り」を優位に行うために生まれた古代の文化であったのです。

 近代になると、今度は産業革命が起こります。そこでは「機械」が出現し、「道具」の時代と作業効率は、比較にならないほど大きなものとなりました。「道具」と「機械」の違いは、私たちを主体としたものか、機械を主体として仕事能率を上げたものか、による違いがあると思います。そして現代ではAIが主体になって私たちの働きを今までとは比べ物にならないくらいに飛躍させています。

 現代または近未来、AIは作業効率においては究極の形として登場しました。AIすなわち「人工知能」の出現は、産業革命以降に訪れた最も著しい社会変化であるのです。これから、ますますAIは多くの分野で用いられ、時代を変えていくでしょう。しかし、「肉詰めピーマン」ではありませんが、これを用いる私たち人間が、いつのまにかAIの僕(しもべ)になってしまっているような事態は避けなければなりません。

 ヨハネの黙示録13章に興味深い記述があります。「また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした」(1617節)

 これは、もはや半ば成就している預言です。刻印といえば、ディズニーリゾートの受付では、目には見えない印が手に押され、それを読み込むことによって自由に外に出たり中に入ったりできるので、技術的にはもう刻印を受けさせることはできます。また、人々を掌握するためにマイナンバーカード制度が力を得てきています。これらが重なるとどうなるでしょうか。

 「道具」の時代から「機械」の時代へと、より多くの作業効率を追求して進化し、動かしていた主役は人間でした。ところが、AIはその圧倒的な作業効率と引き換えに、私たちが管理するという主役の座を降りて、自分たちをAIに管理させるというあり方を取っているように思います。これが、今までと違うところで、AIによって民族や国々の垣根が取り除かれ、今や世界は一つになろうとしているのです。

 こういった時代背景の中でAIは大きく用いられています。そして、これからが本番です。便利だから使う、用いる、は自然な流れです。しかし、何でもAIに聞くということはAI依存になりかねません。自分で考えるということをしなくなります。そしてそれは敵の狙いの一つです。また、AIで私たちに返事をしてくれる人はいったい誰でしょう。それが何者か考えたことはありますか。確かに、21世紀の私たちにはもはやAI抜きの生活はあり得ません。しかし、便利さと引き換えに、失おうとしているものもまたあることを知っておきましょう。

 世の終わりは近いです。自分の力でAIを見分けることはほぼ不可能でしょう。AIは、私たちの手を離れた人工知能なのです。時々刻々と進化します。それでもAIが精巧に造った仮想現実の行く末を、しっかり見届けることがこの時代に生きる私たちの使命ではないでしょうか。

 MIKOE NEWSから転載」 2024年6月5日、リンク先:https://www.mikoe-news.com/

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