2023年12月6日水曜日

人生 100 年時代

 若い頃から教会とともに歩んで、もうすぐ私は還暦を迎えます。いにしえより、還暦は老いの終着点と考えられて来ました。還暦まで生きられたというのはたいしたものだ、というのが当時の認識で、赤いちゃんちゃんこを着て、お祝いしました。

 しかし、自分がその年になってみるとまだまだ壮健です。老いの意識はありません。今の日本人の平均寿命は、男性は78歳、女性は85歳だそうです。ちなみに大東亜戦争の時には平均寿命は50年でした。

 老いに対する見方は時代とともに変わってきています。1959年に日本老年医学会は老年を60歳からとしました。しかし、1990年には高齢者は65歳からに引き上げられ、今はそれに加えて75歳以上を後期高齢者と呼んでいます。老いは遠くなりました。還暦を過ぎてもすぐに亡くなる時代ではないのです。

 私の世代は、通常仕事は60歳定年で、そこから年金生活に入りました。今は、年金は65歳開始となっていますので、年金受給までの5年間、食べてゆく算段をしなくてはなりません。それで知人の多くは再雇用という形で仕事を続けています。あとは、貯金に手を付けて乗り切る人もいます。どちらもできない人も大勢いて、年金だけでは食べてゆけない、と老いを危ぶむ声もあがっています。

 医学の進歩もあり、今や人生は、100年の時代だというふうに言われています。60歳の人が新規採用される時代なのです。しかし、何と生きづらくなった人生でしょう。率直なところ、いきなり降って湧いてきた40年もの老いの時間をいったいどうやって消費するのでしょう。私の乳母は、ご主人と二人で仲良く8畳の茶の間で自称老人クラブをしていました。ご飯を食べてお茶を飲んで、こうやってね、お迎えが来るのを待っているんだよ、と言いながら。

 長寿は、神さまからの祝福です。平均寿命が延びたのも祝福でしょう。けれども、すべてそれは神さまの計画あってのことです。老年に果たして可能性があるのかというと、それは大いにあります。何歳であろうと老け込むには早いです。聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生は、105歳まで現役で医師として過ごされ、召されていきました。なおかつ、年を取らないと分からないことがあるのでと、後進の育成にも尽力されました。身をもって老いにある使命と老いの意味とを教えてくださいました。

 還暦を過ぎた、年を取った、と言っても人生はまだまだこれからなのです。それは新たな始まりと言っても良いかもしれません。老いることはすべてが終わってしまうのではなく、老いにあっても、老いにあるからこそ、神が下さるビジョンがあるのです。老いを知ったあなたにしかできない神の働きがあるのです。神さまはあなたにそれをしてもらいたいのです。

 イザヤ書46章で神はこう語っています。「わたしに聞け、ヤコブの家と、イスラエルの家のすべての残りの者よ。胎内にいる時からになわれており、生まれる前から運ばれた者よ。あなたがたが年をとっても、わたしは同じようにする。あなたがたがしらがになっても、わたしは背負う。わたしはそうしてきたのだ。なお、わたしは運ぼう。わたしは背負って、救い出そう」34節)

 あなたに対する神の愛は変わることがありません。神はあなたが生まれる前からあなたの一生を造られました。あなたは神に知られているのです。それこそ胎内にいる時から白髪になる時まで。神は私たちを背負い、運び、救い出してくださいます。人生の中で、いかに主が良くしてくださったか、これを語ることができるのも老人の特権だと私は思います。若者には若者の生き方があるように、老人には老人の働きがあります。人生100年というこの時代、第2・第3の人生をイエスさまと共に生き、時満ちて天に帰りましょう。 

MIKOE NEWSから転載」 2023年12月6日、リンク先:https://www.mikoe-news.com/

0 件のコメント:

コメントを投稿