2024年4月10日水曜日

神によって立て上げられるのです

 聖書には、数多くの神の器(神が用いる人)が登場します。アブラハムやモーセ、ダビデなど、挙げれば切りがありません。彼らは偉大な神の器として知られ、数多くの信仰によるみわざを聖書に残しています。

 彼らは神の器です。しかし、当然のことですが初めからそうであったわけではありません。聖書は、彼らの駆け出しの頃の、弱さや失敗も包み隠さず記しており、彼らもまた、私たちと同様の罪や弱さを持つ人間であることが分かります。

 創世記12章で、アブラム(後のアブラハム)はききんのために、しばらくエジプトに滞在しようとしました。その地に入ろうとした時、彼は妻のサライに懇願します。「おまえは見目麗しい女だから、私の妻だと言えばエジプト人は私を殺しあなたを生かしておくだろう。どうか私の妹だと言ってくれ。そうすれば、私に良くしてくれ、おまえのおかげで私は生きのびるだろう」。アブラハムは必死になって自分を救おうとしたのです。信仰の人とは程遠い姿ではないでしょうか。

 モーセは、同胞であるへブル人をエジプト人が打っているのを見て、ひそかにエジプト人を殺します。翌日、二人のへブル人が争っているところに出くわし、悪い方に「なぜ自分の仲間を打つのか」と言ったところ「エジプト人を殺したように、私も殺そうと言うのか」という答えが返ってきて、命を救うため、ミデアン人の地に逃げました。このことを聞いたパロ(ファラオ)が彼を殺そうとしていたからです。後年パロの前に立ち、出エジプトを導いた人物とは思えないほど、弱さや恐れでいっぱいでした。

 ダビデもまた、自分の命を救うために気が変になったふりをしました。サムエル記第一21章で、ダビデはサウルから逃れ、ガテの王アキシュのもとに身を寄せます。ところが、家来たちがこれは「サウルは千を打ち、ダビデは万を打った」と歌われていたあの戦士ダビデではないか、と言います。恐らく、ダビデが寝返って自分たちの敵になることもあるのではないかとアキシュに進言したのでしょう。その言葉を非常に恐れたダビデは、気がふれた者を装いました。門の扉に傷を付けたり、ひげによだれを流したり、なりふり構わず自分を救うために気がおかしくなったまねまでしたのです。たった1人でゴリアテに立ち向かったあの勇ましさはどこに行ったのでしょう。

 アブラハムにしろ、モーセにしろ、ダビデにしても、追い詰められると人は自分を救おうとしてとんでもない行動に出るものです。けれども神は、このような弱さや恐れでいっぱいの彼らを、時間をかけて神の器として立て上げてくださいました。

 共通するのは、彼らが神を愛し神を恐れたところにあります。神を恐れること、これが彼らが選ばれた理由であったと私は思います。心をお造りになった方は、人の心を読み取られます。彼らは神を愛しまた恐れ、生涯それは変わりませんでした。

 アブラハムは試みの時、イサクをささげ、そのことによって神を恐れることが明らかにされました。モーセは、全イスラエルをエジプトから連れ出し、荒野で彼らを養いました。神はモーセとは顔と顔を合わせて話されました。モーセもまたへりくだって神を恐れる人物であったのです。ダビデに至っては、姦淫と殺人の罪を犯しました。しかし、それを指摘されると即座に「私は主に対して罪を犯した」と悔い改めます。すると「主もまた、あなたの罪を見過ごしてくださった。あなたは死なない」と、直ちに、罪を赦してくださいました(サムエル記第二1213節)。確かに罪を犯しましたがダビデは主を恐れる者であったのです。

 彼らの、主への恐れこそ神のしもべと呼ぶにふさわしいものです。歴代誌第二169節にはこう書かれています。「主はその御目をもって、あまねく全地を見渡し、その心がご自分と全く一つになっている人々に御力をあらわしてくださるのです

 アブラハムやモーセ、ダビデは数々の栄光を現しました。しかしそれは、彼らが成したのではなく、神が彼らを立て上げ、わざを成し遂げられたのです。神が見ておられるのは心です。私たちは、誰一人として自分の力によって神の器になる者はいません。それは、召されてなるものであり、主とひとつ心になる時、主の御力の現れが働き、ご栄光が現されるのです。

 私たちは神の栄光を盛る土の器に過ぎません。アブラハムやモーセ、ダビデが弱さや失敗の中から立て上げられたように、主はあなたをも立て上げ、ご栄光を現してくださいます。神の働きは往々にしてふさわしくない者が選ばれます。器だからといって誇れるものは何もありません。でも、もしあなたの心に、すべてをささげて主に献身する思いがあるなら、どうかそれを大切にしてください。そして、立て上げてくださる主の御手に信頼を置きましょう。主はあなたを用いて大きなご栄光を現してくださいます。 

MIKOE NEWSから転載」 2024年4月10日、リンク先:https://www.mikoe-news.com/

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