2023年11月24日金曜日

空の巣症候群

  一昔前に、空(から)の巣症候群ということが盛んにメディアで取り上げられていました。子どもが巣立って行ってしまい、子育てをすることもなくなったことで急に心が空虚になることからそう呼ばれています。

 ある婦人が興味深い話をされていました。彼女の幻(まぼろし)、人生の目標は、マイホームを持つことでした。幸せを象徴するかのようなマイホームは、彼女にとって心からの願いでした。そして、幸いなことにしばらくしてから彼女は念願のマイホームを持つことができたのです。欲しいものを手にして、これからいかに幸せな日々が来るかと、彼女は大いに期待していました。ところが、それは長く続きませんでした。最初の23年は良かったのです。でも、やがて新居に慣れてくるとその感動も薄れてきました。彼女にとってマイホーム取得は人生の目標だったので、それを手に入れてしまうと、次に目標とするものが見いだせず、思いもしないむなしさが心に生じたのです。これも空の巣症候群の一つでしょう。

 人生には節目があります。節目ごとに行事があります。誕生、入学、卒業、就職、結婚、出産、退職などです。次から次へと私たちは、これらをこなしつつ年を取っていきます。そして、あっという間に人生の終焉(しゅうえん)を迎えるのです。世の歩みは、人との競争もあり、他者との比較で悩んだり、また、ねたみを抱いて苦しんだりします。勝ち組・負け組という言葉もあるように、毎日が戦いと言えるでしょう。世の欲は切りがなく、あれもこれも得ようとしていますが、これもまた風を追うようなむなしいものです。

 マタイの福音書44節でイエスさまは「人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる」と語られました。パンとは、生活してゆくこと食べてゆくことです。しかし人生は、単に生活ができればよいというようなものではありません。私たちの人生には意味があり、役割があり、使命があるのです。これは、食べること以上に重要なことです。冒頭で紹介した婦人は、自分の目的とはいえ、幻(まぼろし)を堅く握っていました。そして、それは神の定めた時にかなえられました。幻(ビジョン)は人を立て上げ、また育て上げます。神の前に、神のみこころにかなう願いを持つことは大きな力になります。

 反対に、幻(ビジョン)がない人生はつまらない人生です。まず、信仰が働く余地がありません。世のものを受けるでしょうが、それらはいずれ朽ちてゆきますし、やりたいことを全部やってしまったら、何が残っているでしょうか。それこそ空の巣症候群になりかねません。

 人はパンだけで生きるのではありません。日々の必要を追求すること以上のものが人生には用意されています。それは、神のみこころを行うということです。神のみこころを行うことは私たちの人生の目的です。この目的を持っていなければやがて淘汰(とうた)され、むなしく塵(ちり)に還ってゆきます。前述の婦人は、マイホームを得た後、むなしさが残りました。しかしその時、本当に必要なものは神の口から出る一つ一つのことばにあると知ったのです。彼女が追求するものは一変しました。

 神の口から出る一つ一つのことばが、私たちを生かします。神のことばは確かなものです。神のことばを土台とする人生は、何があっても揺るぐことがありません。それゆえ、あなたも主イエスを信じ、神のことばに立ち、幻(ビジョン)に生きる人生をお送りください。

MIKOE NEWSから転載」 2023年11月24日、リンク先:https://www.mikoe-news.com/

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